レポート/2010年1日目

ボランティア記録チームによる第4回エコビレッジ国際会議TOKYOの各プログラムのレポートをまとめました。ぜひご覧ください。

グランドオープニング

主催者のNPO法人ビーグッドカフェ代表理事シキタ純、共催のパーマカルチャー・センター・ジャパン代表理事糸長浩司氏の挨拶の後、国内外から集まったゲストが紹介されました。アメリカ・アルコサンティのタムラ・トミアキ氏、インド オーロビルのビンドゥ・モハンティ氏、フィリピンでトランジッションタウンとエコビレッジづくりに取り組むペネロペ・レイエス氏、中国でエコビレッジ計画を進める李京生氏達の話を聞いて、もっと詳しく知りたい!と期待が膨らみました。最後は、軽快なフラメンコギターとのびやかな歌声、アボリジニの楽器・ディジュリドゥの体の奥深くまで響く音色が魅力のユニット、「じぶこん」のミニライブ。これから始まる3日間でどんな出会いがあるか楽しみなオープニングとなりました。

【基調講演】つながりの再生成 糸長浩司(日本大学教授、NPO法人パーマカルチャーセンタージャパン代表理事)

2006年開催の第1回から、企画立案、コーディネートなどに携わる糸長浩司氏。誰もが幸せに生きる社会へのチャレンジを、エコビレッジを通して伝えてきた彼は、今の日本をこんなふうに捉えていました。「今は里山保全を知るおじいさん、おばあさんが生きているぎりぎりの世代」「若者が農村に来ている。彼らがエコビレッジを作るための支援が必要」。そんな過渡期の日本で、「われわれ辺境の民・日本人は、多様な価値とモデルをつなぎあわせる機会に恵まれている。伝統性と創造性を融和させることができる」と感じているのだそうです。また大事なのは「どんなすばらしいエコビレッジを創造しても、エコビレッジだけでは生きていけない。世界的なエコビレッジや地域社会とつながりながら、暮らしを再生成していくこと」 であり、全体から自分の暮らしを捉えることや、ネットワークを築くことの重要性を強調していました。

ライターから一言

講演の中で紹介されていた、福島県飯館村に建設中の「までいな家」に行ってみたい!村民全員が建て主なんですって。
http://www.vill.iitate.fukushima.jp/vill_iitate/ecohouse/ekohouse_ws.html

キーワード

つながり 都市と農村、地域社会、伝統と創造性の調和

【海外事例】ビレッジホームズからの展望~低炭素型の社会を促進・持続するための好かれ続ける住居環境デザイン  渡 和由(筑波大学院芸術学系准教授 環境デザイナー/サイトプランナー)

カリフォルニア州郊外の住宅地「ビレッジホームズ」を豊富なスライドを交えて紹介。早くから低炭素コミュニティとして注目されてきたビレッジホームズは、販売から30年経った今も販売価格が上がり続けています。その敷地は道が曲がりくねり、家は木々に囲まれ、広い畑がとられていて、まるで日本の原風景のよう。意図的に、家と家の距離や個人の庭などを狭くとり、コモン空間(共有地)を広くとる設計がされているのだそうです。また、子どもたちの体験や思い出を最重要視し、学校や公園などへは町中に張り巡らされた細い遊歩道を通って行けるようになっています。住人たちは美しい公園や農地を誇りに思っていて、ここで子ども時代を過ごし、自分の子を育てるためにまた戻ってくる人もいるのだとか。「いくら性能が良くても、好かれ続けなければ意味が無い」そんな言葉が印象に残った講演でした。

キーワード

低炭素コミュニティ、ディベロッパー、果樹や菜園に囲まれたエディプルランドスケープ、コモンスペースの拡大(誰でも収穫できるアーモンド畑、共有のぶどう畑とワインづくり)

基礎データ

活動主体 名前:ビレッジホームズ
形態:企業/住宅の製作、販売、住宅地の運営を行う。
設立 設立者:マイケル&ジュディ・コルベット
時期:1981年
場所:カリフォルニア州デイビス市
活動拠点 ・郊外型住宅開発
コミュニティ、またはプロジェクトの進行状況 ・ノウハウの提示ができている
コミュニティ、またはプロジェクトの規模 ・参加人数:240戸
・敷地面積:68エーカー(27,500㎡)
テーマ ・低炭素への取り組み
・代替エネルギー
・都市計画(住宅地のデザイン)
・パーマカルチャー
・地域づくり(住民は管理費を支払って美しい町並みを管理してもらっている)

【海外事例】米国 未来型エコビレッジ「アルコサンティ」の全貌 タムラ・トミアキ(アルコサンティプロジェクト&ソレリアーカイブディレクター)

イタリア、トリノ出身の建築家パウロ・ソレリ(91歳)は、40年前(1970年開始)から 米国アリゾナ州の砂漠で、5千人規模を想定した実験都市「アルコサンテイ」の建設を続けています。その根底にあるのが、無駄なものをなくした豊かな都市生活を求める「Lean Alternative」と、学び・居住・生産という複合的機能をもつヒューマンエコロジーの施設(アーコロジー:Ar-cology)という考え方。特徴は、エレガントな質素さ、共有する生活の質の向上、ブリコラージュ(創造的な資源の再利用)、ミクロとマクロからも見るホリスティックな視点、技術革新と環境適応、進化的な建築など。土を型枠にしたコンクリートを使用するアースキャステイング構法や自然エネルギーの活用などは注目を集めていて、ワークショップには世界各国から参加者が集まっているそうです。

キーワード

ブリコラージュ 近未来型都市の代替デザイン

基礎データ

活動主体 名前:コサンティ財団
設立 パウロ・ソレリ 1970年 アメリカ合衆国アリゾナ州メイヤー
活動拠点 ・砂漠の中に理想都市を建設中
コミュニティ、またはプロジェクトの進行状況 ・実践中
・未来ビジョンの提起がある
コミュニティ、またはプロジェクトの規模(現在) ・参加人数(人口5000人を想定している。現在の常駐者は90名程)
テーマ ・低炭素への取り組み
・都市計画
・定住するスタッフとボランティア、ワークショップ参加者の入り交じるコミュニティ
・その他:建築に関するワークショップ開催

【海外事例】インド オーロビルが目指すコミュニティ思想 ビンドゥ・モハンティ(オーロビル財団教育ディレクター)

1968年に設立されたオーロビルは、43カ国から集まった2000人が暮らす大きな村へと成長しました。荒涼とした不毛の地に何百万本の木を植えて蘇った森に囲まれた敷地では、太陽光発電やソーラークッカー、バイオマスプラント、地元の土でつくる家など、持続可能な暮らしへの実験が続いています。オーロビルの創設者のマザーという女性は1973年に亡くなっていますが、その後もコミュニティは続いていきました。現在オーロビルで伝えられているメッセージに 「soul,soil,society(魂、土、社会)」があります。彼らは、「魂は心に対して真実、感情は心に対して全良、身体は心に対して美しさ」を表現していて、ひとりひとりがユニークな唯一の存在であると考えています。そして、ひとりひとりの魂と社会はお互いに支え合うもの、地球は子どもたちから借りているものだといいます。エコビレッジは私たちの将来のために、魂、土、社会を育成していくのだという言葉が印象的でした。

ライターから一言

個を尊重しながら全体の調和をとる暮らし方が魅力的でした

キーワード

Soul,soil,society、統合的な学習、環境保全、未来の町

基礎データ

活動主体 名前:オーロビル財団
形態:財団
設立 設立者:マザー
時期:1968年
場所:南インドタミルナドゥ州、ポンディシェリー近郊
活動拠点 ・農村(荒野からの森林回復)
コミュニティ、またはプロジェクトの進行状況 ・実践中
・未来ビジョンの提起がある
コミュニティ、またはプロジェクトの規模(現在) ・参加人数:約2000人
・敷地面積:20km2
・またがる地域:オーロビル所有地と既存の村が混在
テーマ ・低炭素への取り組み
・代替エネルギー
・都市と農村が混在したデザイン。荒野に森林を回復し、銀河の形で都市をデザインしていて、周縁部にはグリーンベルトと呼ばれる森林地帯が広がっている。
・パーマカルチャー
・アート
・潜在植生の回復、個の尊重
・農村での取り組み
・繋がり、地産地消
・共同体の暮らし
・精神的なつながり重視
・教育:オーロビル在住者、ゲスト、ローカルに幅広く提供

【パネルディスカッション】豊かに、そしてサステイナブルに生きる

糸長浩司(パーマカルチャーセンタージャパン代表理事)、タムラ・トミアキ(アルコサンティプロジェクト&ソレリアーカイブディレクター)、ビンドゥ・モハンティ(オーロビル財団教育ディレクター)、李京生(同済大学教授)、ペネロペ・レイエス(グローバルエコビレッジネットワークオセアニア&アジア(GENOA)代表)、シキタ純(BeGood Cafe代表理事)

「あなたにとって豊かに生きるとは?」糸長氏の問いかけに、登壇者たちはこんな答えを返していきました。「オシャレに暮らすこと」(シキタ)、「通勤しなくていい。外に出ると開放感がある」(タムラ)、「コミュニティで家族のように食事を楽しむ」(ペネロペ)、「鳥のさえずりで目を覚ます時」(ビンドゥ)。暮らしの中で大事だと思うものはそれぞれ違っています。しかし、共通に流れているものもありました。それは、「持続可能な暮らし」「ビジョンを共有する仲間」「今ある問題を解決すること」など。そこにあったのは、エコビレッジで、また今の社会で暮らしながら、自分なりによりよい暮らしに向けて進んでいきたいという思いでした。一方中国では、毎年14万人が農村から都市へと流入しているそうです。日本でエコビレッジと農村計画について学んだ李氏は今、母国で政府の生態村(エコビレッジ)プロジェクトに携わっています。こういったふうに、個人、団体、政府と世界中でさまざまな立場からの取り組みが進んでいるエコビレッジですが、大切なのはお互いを認め合い、つながり合いながら前進していくこと。「エコビレッジひとつだけでは達成できない。全体を見て初めて見えてくるはず。すべてはプロセス」(タムラ)、「多様性が大事。同じ目的を持つ人同士で協力しながら進んでいく」(糸長)といった言葉が、それを象徴していました。豊かに、そしてサステイナブルに生きる鍵は、大きな目的を共有しながら、違いを認め合い、つながり合いながら暮らしていくことにあるのかもしれません。

【上映会】『shifting from global to local~グローバルからローカルへのシフト~』映像紹介とレクチャー 鎌田陽司(NPO法人懐かしい未来代表理事)

ISEC(エコロジーと文化のための国際協会、本部イギリス)代表、ヘレナ・ノーバーグ・ホッジ氏が製作した表題の映像の上映と、ヘレナ氏の活動を日本に紹介してるNPO、懐かしい未来代表の鎌田陽司氏による解説。ローカリゼーションは、グローバル経済や石油に依存しない地域に根ざした暮らしをつくる運動で、物々交換、コミュニテイガーデン、地域の経済、食やエネルギーの自給、健康、地域に伝わる文化などが、喜びや幸せ、精神的な充足、未来への希望をもたらすと考えられています。映像では、グローバルな経済成長によって生まれた、アメリカ型の単一文化への変化、自己喪失などの精神的ストレス障害や病気、資源の枯渇やエコシステムの崩壊、争いや戦争の勃発などを振り返りながら、再び地域に根ざした暮らしへシフトすることの重要性を伝えていました。ローカリゼーションはこれから、自然との共生、人・社会との平和と幸福のための鍵となっていくでしょう。今回の映像は暫定版でしたが、完成が楽しみです。

ライターから一言

映像にはトランジション・タウンやエコビレッジの内容も加わって、以前製作されたバージョンよりも充実してきました。会場からは、グローバル化とローカル化のバランスが大事ではないかという意見もありました。

キーワード

平和と幸福のための地域に根ざしたコミュニティの暮らし、再ローカル化

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